関西方面へ出張に行った。商談相手と名刺を交換したところ「信一」とだけ書かれていた。社員全員があだ名で仕事をしている企業もあるし、イチローとか絢香とかmiletとかaimerとかおすぎとかピーコとかキンタローとか。
業界は違えど姓はなく名だけの人も多くいる。イレギュラーな事態を柔軟に吸収しなくては多様性の時代を泳ぎ続けることは出来ない。名だけで勝負するのがこの企業の個性なのだろう。大丈夫、もう受け入れた。
自分にそう言い聞かせながら平静を装い仕事の話を進める。相手との距離を縮める一つの技術として名前を呼ぶというのがある。もちろん知人もそれに倣い営業トークをしかける。
「しんいちさんは地元の方なんですか?」とか
「しんいちさんはゴルフはするんですか?」とか
「しんいちさんは長男ですか?」とか
そのおかげもあってか場は少しずつ和んでいき、どうにか契約一歩手前までこぎつけた。あとは社に持ち帰って協議をし、結果を連絡するという事で仕事の話は終了し少々雑談を交わした。
ではこの辺でと席を立つ知人にしんいちさんが言った。自分の名前は「のぶ はじめ」だと。信一と書いて「のぶ はじめ」と読むのだと。またまた冗談ばっかり~😆 とつっこんでみたが眉をハの字にして笑う「しんいち」さん。
どうやら本当に「のぶ はじめ」さんのようだ。電光石火で謝罪すると共に変わった会社なんだと思ったものでとしなくていい言い訳をして帰路に着いた。その後無事契約に至ったのは、名前を間違った事が功を奏したに違いない。めでたしめでたし。
どうせまた知人のつまらないネタだなと思い検索してみると、関西には本当に「信(のぶ)」さんが多くいる事が分かった。もしかしたらネタじゃないのかも知れないが、知人を信じる事も出来ない。
判断が付かないので忘れる事にした。
でも「信(のぶ)」さんがいる事を知った。
あっ
ヒロシも。
にほんブログ村
スポンサーサイト